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第4回 「言ってはいけない」

前々回、前回では、日常的に使われている言葉が遺族の心を傷つけてしまう可能性について述べてきました。つまり、私たちが何気なく使っている言葉の中には遺族に「言ってはいけない」ものがあるのです。より良い遺族ケアのためにこのことを知っておくことは大切です。

今日はいくつかの例を挙げてみたいと思います。

<がんばってね>

日常的によく使われる言葉で、葬儀の際にも慰めの言葉としてよく聞かれます。しかし、主語がありません。いったい何を頑張ればよいのでしょうか。また、死別という人生最大のショックを受けて失意の中にある人にこれ以上何ができるのでしょうか。

<あなたがしっかりしないとだめ>

悲しみにくれる遺族に対して励ましのつもりで言うのでしょう。言うのは簡単ですが、何をしっかりするのでしょうか?具体性がありません。

そう言う人はどんな援助をしてくれるのでしょうか。

<あなたの気持ちはわかります>

死別は本人の死(一人称の死)、家族として経験する死(二人称の死)、そして周囲から見た死(三人称の死)に分けられます。

遺族は家族として死別を経験しています。周囲にいる人は家族ではありません。あくまでも第三者として死別を経験するのみですから、第三者に家族の苦しみがわかる筈ありません。

<良いお葬式だったね>

たしかに、こちらの身が引き締まり、心が洗われるような“良いお葬式”はあります。しかし、自分がそう感じたとしても、遺族がどう感じているかはわかりません。逆に辛い思いをしているかもしれません。

遺族から聞いたいくつかの“嫌だった言葉”を挙げてみました。これからの言葉の特徴ですが、話している人には遺族を傷つける意図はなく、むしろ援助しようとしていますが、結果的に遺族を苦しめています。これらの援助のことを「有害援助」と呼んでいます。驚くべきことに、有害援助は援助の8割を占めるといわれています。なぜ、このようなことが起きているかというと、有害援助は遺族を慰めようとしているのですが、自分だったらこうするべきという信念を遺族に押し付けているためなのです。また、遺族を慰めようと思っても、対面した瞬間にどのような言葉を発したらよいのかわからず、遺族の心情を考えないでつい口にしてしまうことが多いようです。

せっかく遺族を慰めたいと思っているのですから、正しい援助をするよう心がけたいものです。ですから、援助を行うときには、「自分はこう思う」ではなく、「遺族は何に苦しんでいるのか」という考えを中心にして援助を進め、有害援助にならないように心がける必要があります。また、死別を経験した遺族がどれほど辛い思いをしているか理解し、つらい状況に置かれている人々にどのように接すればよいか常に考えておくことが必要だと思います。

 

埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科 大西秀樹

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