わすれられない おくりもの
冷え込む日が続くと、
暖房の効いた部屋から出るのがすっかり億劫になりますね。
そこで何気なく自宅の本棚を眺めていたら、
懐かしい絵本を見つけました。
『わすれられない おくりもの』
イギリスの絵本作家、
スーザン・バーレイの代表作です。
日本で初版が発行されたのは1986年。
もう30年以上愛されているこの作品、
読んだことがある方もきっとたくさんいらっしゃると思います。
物語の軸となるのは、
賢く物知りで、とても優しいアナグマです。
アナグマはすっかり年老いていて、
自分の寿命が残りわずかであることを知っています。
しかし、彼は死ぬことを恐れていません。
ただ、あとに残していく友だちのことは気がかりで、
いつかその時が来てもあまり悲しまないようにと、
前もって伝えていました。
ある夜、アナグマは別れの手紙を書き、
とうとう長いトンネルの向こうへと旅立ってしまいます。
翌朝、アナグマの死を知った友人たちは、
誰もが悲しみに打ちひしがれます。
アナグマが言い残した通りに悲しまないようにするのは、
とても困難…。
しかし、時が経つにつれ、
彼らはアナグマが遺してくれたものに気づき始めます。
さて、アナグマが遺したものとは一体何なのか??
そして、遺された仲間がアナグマにおくった言葉とは??
…というのが、大まかなストーリーです。
子どもにはちょっと難しいように思う「死」や「喪失感」が、
丁寧に、とても温かく描かれていて、
「生」の隣には当たり前に「死」があることを、
いつだって優しく教えてくれる作品です。
また、どこか儚げな柔らかいタッチの絵が、
じんわりと胸に迫ってきます。
久しぶりに読んでみて、
初めてこの本を手に取った幼い日に、
アナグマの死をどうしても受け入れられなかったことを思い出しました。
そして、30代も後半に差し掛かった今、
遺された仲間の心境までは辿り着けた気がしています。
このまま年月を重ねていけば、
別れの手紙を書いたアナグマの気持ちにも到達できるでしょうか…。
いくつになっても寄り添ってくれる絵本。
どなたかへクリスマスプレゼントとして贈って、
ぜひご一緒に読んでみてください。
寒い日でもカラダの真ん中がポカポカしてくると思いますよ。
- 更新日時:2019年12月4日|カテゴリー:ブログ