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私の心に残ったお葬式<1>

打ち合わせをするために控室に入ると、大人数でテーブルが囲まれていた。憔悴した2人の女性が目に入り、おそらく娘さんではないかと悟った。周囲の親族から質問責めにされ、困っているようだった。ご挨拶をし、故人さまに手を合わせさせていただく。

「本当に何もわからないので、どうしたらいいか…」

聞くとご長男が飛行機でこちらに向かっているという。全部決めておいてくれと言われたが、地域の決め事や親戚の意向に娘さん二人では手を焼いているようだ。当事者でない方が、外野からああでもない、こうでもないと口を出すのは今までも見てきたが、今度のそれは度が過ぎている。かと言って自分では黙れとは言えず、矢面にも立ちたくない。早々と日程を決めて、細かいことは改めてご家族の方だけで打ち合わせをすることにし、その日は部屋を後にした。

事務所に戻る車の中で考えた。もし自分の父が亡くなったら、このお家と同じ状況になる。妹二人に任せて、ぎりぎりまで仕事をして、飛行機に乗って実家に向かうだろう。まだ見ぬご長男と今日お会いした娘さん二人、お年は逆に自分の両親と同じくらいであるが、急に親近感を覚えた。

翌朝、ご自宅にお伺いする。お二人とも多少、お元気を取り戻したように見えた。

「この地域ではこういう風習があるから、あれとこれを準備しろとか言われたんだけど、私たちは見たことも聞いたこともないの。ほかにも…」

聞いたことのある風習である。手配した覚えのあるものもあった。無難にしておくべきだと、普段であるならそう言っているはずだが、口を開いた時にはいつもと違う言葉が出ていた。

「大切なのはご家族のお気持ちです。やりたいようにやりましょう。やりたくないものはやめましょう。何か言われたら僕のせいにしたらいいんですよ。」

お二人の表情がぱっと明るくなったのと同時に何か身が引き締まるような感覚におそわれた。そのまま細かい打ち合わせを終え、あわただしく通夜の晩となった。ご長男もなんとか間に合い、ご挨拶をさせていただく。将来の自分の姿がこうなのかもしれないと、薄い頭髪を拝見して少し面白くも思った。案の定、地域の方やご親族に多少文句を言われる場面もあったが、自分で対応に回った。お怒りを買わないように、ご家族の方に不利益が生じないように、言葉、対応に細心の注意を払う。

通夜式が終わると、ご家族の3人に別室に呼ばれた。お父さんを実家に連れて帰ってあげたいから出棺後、霊柩車で寄ってもらいたいという。そのためには霊柩車を大幅に迂回させる必要があり、ご親族はかなり待たされることになる。それを親族代表がうんと言わないとのことであった。瞬間、亡くなった自分の祖父も帰りたいと漏らしていたことを思い出す。これは絶対に実現させていただかなくてはならないと強く思った。そして若干お酒の入った親族代表とお話をさせていただいた。何を話したかはあまり覚えていないが、娘さんと一緒に熱弁をふるったような気がする。結果としてご納得していただき、ご家族は思いを遂げることができた。

そして全てが終わりご家族をお見送りさせていただく時間となった。

「いろいろ、本当にありがとう。親身になってくれて、すごくうれしかった。また何かあったら、あなたにお願いしたいわ。」

お客様から感謝の言葉をいただくことには生意気ながら慣れてしまっていたが、この日はなぜか涙がこぼれてしまい、娘さんと一緒に二人で泣いてしまった。

お帰りの車を見送りながら、こういう仕事をこれからもしていこうと思った。今でも、打ち合わせに入る前にはこのお家のことを思い返している。

  • 更新日時:2018年10月4日|カテゴリー:ブログ
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