ありがとうを言わせて
愛しい人が先に逝くと、それまでのお付き合いや御恩に「ありがとう」と、
感謝を故人にお伝えし、新しい世界へ、旅立ちの見送りとしてお葬式を行います。
愛しい人ほどに、丁寧に見送りをしたくなります。
そうしてその葬儀はご遺族をも安心させて救っていけるものにつながります。
人には誕生から他界するまで、それぞれの人生があります。
人生のなか、やり直しをすることができない、たった一度の送別の儀式がお葬式です。
ご遺族が納得のいくお葬式で故人をお見送りできると、その後、ご遺族は次第、次第に癒されていきます。
これは、お葬式の規模や金額の高い・安いによるものではなく、心を込めて丁寧に故人をお見送りすることによるものです。
お葬式の形は、故人やご遺族の意志を尊重するものです。
ご遺族の判断でお葬式を簡単に済ませてしまう場合でも同様です。
ただ、お葬式は二度と行うことができないため、賢明に選択されることが望ましい。
様々な想い出や気持ちを分かりやすく言動で伝えていくことが、葬儀社の責務です。
お葬式については、必要になる前に、ご家族や、葬儀社との間で納得いくまで話し合うことが大切です。
葬儀は、集まる家族と友人にとって最期の機会です。
葬儀を通して、彼らに最後の感謝、イメージ、メッセージ、気持ちを伝えるチャンスです。どのような印象を皆に残したいか、事前に考えた方がいいかも知れません。
葉書一つで「彼が他界した」と虚しく知らされるよりは、
故人を大事に想っていた人達を呼び寄せ、昔話を語り合ってもらう葬儀の方が、家族や友人のために良い想い出になります。
遺族は急に生活が変わり、家も心も空っぽになり、寂しくなるのは当然ですが、葬儀等で友人が優しい一言をかけ、
優しく手を差し伸べると、「独りではない」と深く感じられ、後々まで有り難く想い出されます。
お葬式には「癒しの効果」があると、報告されています。
欧米の研究によると、納得いく葬儀を行う遺族の方が、そうでない遺族と比べて、死別後の前向きな姿勢が強く、健康状態が良く、悲嘆からの回復が早いといわれています。
社会を死別の打撃から守るためにも、お葬式が大事な役割を果たせます。
カール・ベッカー
京都大学 医学研究科
政策のための科学 特任教授
アメリカイリノイ州出身。1971年にプリンシピア大学卒業。1992年に京都大学教養学部助教授、同総合人間学部助教授・教授、同大学院人間・環境学研究科教授を歴任。
2017年より京都大学政策のための科学ユニット特任教授に就任。
- 更新日時:2018年02月15日|カテゴリー:お葬式の大切さを考える