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私の心に残ったお葬式<2>

私の心に残っているお葬式は、ある老婦人Aさんの葬儀です。

その方との出会いは15年前の義理の息子さんのご葬儀でした。定年を迎え、ようやく家族サービスが出来る様になったという矢先での急逝。残された奥様と義母A様は動揺が激しく、ゆっくりと時間をかけての請け合いを心掛けました。いろんなお話しを伺う中で、義母A様の「本当の息子以上に良くしてくれました。私のほうが見送ることになるなんて」と涙ながらにおっしゃられた言葉が印象的でした。

多くの方に偲ばれながらお葬式も終わり、その後の年忌法要も無事に3回忌まで済まされ、数年が経ったある日、奥様からの連絡がありました。それはA様のご訃報の連絡でした。数え年98歳、娘さん曰く「穏やかな最期でした、葬儀の打ち合わせをお願いします」。

お会いしたA様は綺麗に着物を着せてもらい、お嬢さんの手で薄化粧を施された綺麗な寝姿でした。静かに手を合わせたのち、打ち合わせに入ろうとした私にそっと渡された白封筒。そこにはAさんから私宛と書いてありました。中を開けてみると、20代くらいの綺麗な女性の写真が一枚、裏には「A、自宅にて」と書いてあり、他には何も入っていませんでした。

私は少し考えてから、親族の皆さんにその写真をお見せし、きっとこの写真を使って欲しいということではないかとお伝えしました。私にはそれがA様のメッセージだったように思えたのです。親族の皆様は顔を見合わせ少し考えておられました後に、自然と笑顔になり、ぜひ使おうという話になりました。結果、ご親戚やご近所の方が集まって下さったA様のお葬式には、近年のお姿の遺影と、若いころのお姿の遺影の2枚の写真が並ぶこととなりました。お参りに来られた方々からは、「私がお嫁に来た時からずっとおばあちゃんだったAさんだけれど、こんな可愛らしい時があったんだね」と声をかけられたとおっしゃられる喪主を務めた娘さんの少し照れくさそうな、それでいて嬉しげな表情が忘れられません。

形式や対面を重んじるお葬式がまだ多かった当時、亡くなった方を中心にして寂しい中にも笑顔がこぼれるお葬式というものを遺族と一緒に作ることが出来、その場に立ち会えた事を誇らしく思っています。1件たりとも同じお葬式はない、同じように見えるものであっても、そこに如何に亡き方の個性や遺族の想いを反映させた形に出来るか、常にそれを中心において今も葬儀に向き合っています。

  • 更新日時:2018年11月19日|カテゴリー:ブログ
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