別れのときを共に
先日、雑誌『婦人公論』に、
エッセイストの阿川佐和子さんが
お母さまの最期を看取った記事が載っていました。
タイトルは、
「コロナ下で認知症の母を看取る。面会はLINE、葬儀はリモートに」
というものです。
コロナ感染対策で病院での面会が禁止になっている中、
アメリカ在住の弟さんから提案があり、
病院スタッフにビデオ通話をつないでもらって、
ベッドに横たわるお母さまの顔も見ながら声がけをしたそうです。
そして、葬儀も弟さんご家族はアメリカからリモートで参列。
ご住職に相談して本堂にパソコンを持ち込み、
葬儀を中継したというお話でした。
弟さんは遠く離れた場所からでも、
出棺まで見届けることができたそうです。
前回、こちらのブログでもご紹介しましたが、
コロナ禍での「新しい生活様式」として、
リモートによるお墓参りや法事、
葬儀の映像配信サービスなどが広がっています。
また、火葬はご家族だけで済ませ、
後日落ち着いたときに、
改めて葬儀を行うケースも増えているようです。
阿川さんが記事の中でおっしゃっていたのは、
少し面倒に感じる「死を伝える作業」にも意味があり、
葬儀に参列すれば久しぶりの顔に会えて、
故人がみんなをつないでくれていると感じた…ということでした。
すでに国はGo ToトラベルやGo Toイートキャンペーンを始め、
社会は「自粛」から「with コロナ」へと大きく舵を切っています。
しかし、新型コロナウイルスに感染した場合の特効薬はまだ見つからず、
ワクチン開発も途中段階でしかない今、
自ら人を集めて何かを行うという行為は、
やはり気が引けてしまいますよね。
まさにその気後れする代表格のひとつが冠婚葬祭で、
中でも、哀しみの席を共にしてほしいという連絡は、
最も遠慮してしまいがちなものだと思います。
でも、こんなときだからこそ、
これまでの人とのつながりのありがたさを感じ、
最期にはしっかりと見送りたいという方が増えています。
むしろ葬儀に参列できないことで、
気を病んでしまう方もいらっしゃるようです。
葬儀の映像配信サービスは、
まさにそういった気持ちを汲んでくれる、
画期的なサポートなのではないでしょうか。
阿川さんが病院のスタッフやお寺のご住職に相談したように、
まずは何か良い方法はないかと、
葬儀社含めて色々な方に確認してみることが第一歩。
そして、本当は直接出向きたくても、
どうしてもそれが叶わないときには、
ぜひ新しいサービスを活用していきましょう。
笑いには免疫アップの効果があると言われますが、
懐かしい人とのコミュニケーションや納得のいく別れにも、
同じように元気を運んでくれる力があると思うのです。
- 更新日時:2020年10月6日|カテゴリー:ブログ