1141064
増税前の駆け込み需要で、街が騒然となっていた9月30日。
ひっそりとサービスを終えたものがあります。
タイトルに書いた「1141064」。
この数字を解読できる方なら、きっとお使いになったことがありますよね?
そうです! 懐かしのポケベルです!!
♪ポケベルが〜 鳴らなくて〜♪…なんて曲も流行りました。
私もギリギリ、まさに高校に上がりたての青春真っ只中で、
ほんのりポケベルに触れた世代です。
当時は公衆電話から友人に、
「108410(=電話して)」なんてメッセージを何度も送ったものでした。
数字に乗せて、たくさんの想いを運んだポケベル。
その役目を終える前日の9月29日には、
なんと「みんなのポケベル葬」と題したポケベルのお葬式が、
東京都・JR秋葉原駅の近くで営まれたそうです。
葬儀を主催したのは東京都葬祭業協同組合。
急な連絡が飛び交うことの多い葬祭業者にとって、
ポケベルは必需品だったんですって。
まだ携帯電話が普及していない時代、
お仕事を支えてくれる相棒ともいえる存在だったことでしょう。
そういった感謝の気持ちを伝える場として、
今回の葬儀が執りおこなわれたそうです。
さて、そろそろ「1141064」の種明かしをしましょうか。
ポケベル葬の遺影として使われた、この数字。
青春の淡い記憶と共に、思い出した方もいらっしゃることでしょう。
「愛してるよ」という意味でしたね。
文字にすると恥ずかしいのに、数字なら伝えられるという時代がありました。
この表示パネルを遺影として送り出すなんて、
とてもウイットに富んだお葬式ですが、
その一方で、ポケベルへの深い愛情を感じずにはいられません。
本当に大切なものだったんですね。
物が溢れ、人が溢れ、そのひとつひとつの大切さが薄れてしまった現代。
何かに想いを馳せるという場面は、明らかに少なくなっています。
電車の窓から景色を眺め、思わずたそがれる…なんてことも、
すっかりなくなってしまいました。
暇さえあればスマホを開き、
近いのか…、遠いのか…、
流れてはすぐに消え去っていく情報を追いかけてしまいます。
しかもその、肌身離さず持ち歩くスマホにさえ、
いつかお葬式で見送るほどの愛着を抱けているのでしょうか…。
「みんなのポケベル葬」のニュースは、
思わず「懐かし〜」なんて微笑むだけでは終わらない、
なにか大切な温かい気持ちを呼び起こしてくれたような気がします。
いつかきちんと見送りたいと思えるってすごいことですよね!
そういった人との出会い、物との出会いを忘れないように、
周りに目を向けながら過ごしていかねばと思いました。
「3470(=さよなら)39(=サンキュー)、ポケベル!」
※ちなみに、9月30日に個人向けサービスが終了したポケベルの電波は、
今後、自治体向けの防災無線などに活用されるそうです。
- 更新日時:2019年10月24日|カテゴリー:ブログ